SNS、キャリア、肩書き——現代は他者からの承認によって存在の価値を測る文明です。しかしAGIが労働と生産を代替した先に、人類はその前提ごと問い直される。生きている、ここにいる、という事実そのものが意味を持つ時代——それを存在文明と呼びます。
土を塗り、蚕を飼い、薪で暖を取ることは、効率の文脈では「退行」に見える。しかしそれは、承認を必要としない存在の実践です。この古民家再生は、その変容の最初の一歩として位置づけています。
地政学的に特定の地域が石油輸送を抑制・遮断すれば、それだけで暮らしは変わる。ものの値段が上がるだけでなく、買えなくなる——その現実がすでに始まっています。人類が戦争を通じて積み上げてきた文明は今、移り変わろうとしている段階に入っている。石油依存が当たり前ではなかったことに、わたしたちはようやく気づきつつあります。
TokiStorageはその解決策として、家族単位で新たなモデルケースを作ることを選びました。一世代で完結させるのではなく、世代をかけてチャレンジする。その経過は適宜共有し、現代の暮らしの知恵として還元していきます。そして、同じような境遇から脱却したいと願う人が現れたとき、スムーズに移行できる道筋となり、支援し、文明の移行を支える存在となる——これが第1号プロジェクトの位置づけであり、第2・第3号へと広げていく起点です。
三重県伊賀市島ヶ原。築年不詳、20年以上空き家だった木造平屋、105㎡。1,006㎡の土地に4棟の建物が残る。
古民家再生の専門家・恵工房 杉下社長による現地確認で、100年以上経過した建物の特徴が随所に残っていると証言を得ています。
購入価格190万円。四十代の夫婦と、5歳になる娘・糸とともに、この場所に移り住む。
現代の生活インフラは石油文明に依存している。その前にあった技術——土壁、養蚕、薪暖房、雨水利用——を記録し、実証し、次の世代に渡す。それがSoulCarrierのミッションの、物理的な体現です。
養蚕は、天皇が今も継承する文化です。皇后は毎年みずから蚕を育て、絹糸を引く——それは生産効率とは無関係な、存在継承の実践です。かつては国民も同様に行っていた。承認経済の利便性に代替される中で、段階的に失われていった。
それを取り戻すことは退行ではない。新しい時代の人類の生き様の変容です。国民として存在継承を実践的に取り戻すこと——その場として、この古民家を選びました。
伊賀は組紐の産地です。しかしその上流にあった絹糸の生産は近代化のなかで失われ、職人たちは中国産の糸を使っている。この土地に桑を植え、蚕を飼い、手で糸を引く。100年断絶したサプライチェーンを、一軒の古民家から再接続する。
2026年4月8日、NPO伊賀の友代表の上田氏とともに伊賀市長を表敬訪問。4月12日号にてケーブルテレビ放映。官民連携した協力体制の方向性を確認し一致。