カバンの中のWiFi拠点
古民家に滞在していたとき、大手キャリアの無制限プランを家族で使っていました。あるとき、テザリング制限という規制にかかり、通信不能状態に陥りました。
試行錯誤の末に行き着いたのが、この方式です。
電源もネットも、持ち込める
コンセントがない。WiFiがない。でも、人が集まる場所がある。
そういう場所に、カバンから出して置くだけで WiFi 拠点が立ち上がる——それがこの構成の目指すものです。
民泊、イベント会場、NPO の集会所、離島の公民館、被災地の避難所。「インフラがない」場所は、「電源がある場所」よりもずっと多い。
最小キット
| 機材 | 選定例 | 費用 |
|---|---|---|
| eSIM対応スマートフォン | 新旧問わず(手元の古い機種で可) | 0円 |
| ミニPC | Intel N100系など(新品推奨・中古可) | 新品2.5〜4万円前後 |
| モバイルバッテリー | INIU 45W(USB-C PD 12V出力対応) | 約2,000円 |
| 電源ケーブル | USB-DC 12Vケーブル(PDトリガー方式、5.5×2.1mm) | 約500円 |
| データ通信 | povo eSIM(招待経由) | 0円(100GB/3日間) |
合計:約2万8,000〜4万5,000円前後(Amazon等で新品ミニPCを買う場合。中古・セール品なら下がることがあります)
スマートフォンとミニPCがすでに手元にある場合だけ、追加部材は2,500円程度です。ミニPCを新しく買う場合は、上の合計額を見込んでください。
仕組み
スマートフォン(povo eSIM)
↓ USB テザリング
ミニPC(nodogsplash + Tailscale)
↓ WiFi ホットスポット
来場者のスマートフォン・PC
- スマートフォンに povo の eSIM を入れてテザリングをオンにする
- ミニPC を USB ケーブルでスマートフォンに繋ぐ
- ミニPC が WiFi ホットスポットとして機能し、captive portal を表示する
- 来場者は「Free WiFi」に繋ぐだけで、インターネットに接続できる
ミニPC への給電は INIU バッテリーから PDトリガーケーブル経由で行います。コンセント不要。
povo 招待の使い方
povo は au の格安ブランドで、招待経由で新規登録すると 100GB/3日間 のデータが付与されます。
- eKYC(本人確認)が必要。スマートフォンで完結します
- 同一名義で5回まで招待を受けられる(合計最大500GB)
- 支払い設定には Wise のデビットカードが使用可能
- 期限が切れたら、また招待リンクから登録し直す運用も可能
3日間のイベントなら100GBは十分すぎる量です。
Wise デビットカードについて
povo の支払い設定には通常のクレジットカードが必要ですが、Wise のデビットカードでも登録できます。
Wise は海外送金サービスですが、発行されるデビットカードは Visa/Mastercard として機能します。銀行口座がなくても、残高をチャージするだけで使えます。クレジットカードを持っていない方でも、このキットを揃えられます。
遠隔管理
ミニPC には Tailscale が入っています。
現地から離れていても、MacBook やスマートフォンから SSH で繋いで状態を確認できます。トラブルが起きても、現場に戻らなくても対応できます。
ssh toki@100.xxx.xxx.xxx # Tailscale 経由
どんな場所に置けるか
コンセントがある場所:ミニPC を AC アダプターで給電。バッテリー不要。長時間の常設に向く。
コンセントがない場所:INIU バッテリーで給電。2〜3時間の稼働。イベント・スポット展開向き。
電源が全くない場所:ソーラーパネル(5V USB出力)+ INIU バッテリーの組み合わせで長時間化も可能。
このキットが意味すること
「WiFiがない」は、もはや「インターネットに繋げない理由」にならない。
カバンひとつで、どこにでも持っていける。置いて、電源を入れる。それだけで、その場所がインターネットに繋がった場所になる。
インフラを「持ち込む」という発想は、インフラを「引く」ことができなかった場所への、別の回答です。
関連ガイド
- ゼロ円主義 — スタック全体像
- ローカルサービスをセキュアに外部公開する — Tailscale
- 常時稼働サーバーの選び方 — ミニPC
- Claude を低コストで使い倒す — Bedrock